昨年末にウィリアム・ギブスンの新作の邦訳が出たと言うことで今週から読んでます。

タイトルは「スプーク・カントリー」。

本作は前作の「パターン・レコグニション」に続く現代 SF の 2 作目ということもあり、スプロール三部作との対比もいろいろとってみられるのが面白いところではないでしょうか。例えば、パターンレコグニションの主人公「ケイス・ポラード」とスプロール三部作の一作目でありサイバーパンクの代表作「ニューロマンサー」の主人公である「ケイス」が同名であること。「スプーク・カントリー」には「ボビー」という人物が登場しますが、これはスプロール三部作の二作目である「カウント・ゼロ」の登場人物「ボビイ」とやはり同じ名前です。

また、「カウント・ゼロ」は主要な3場面のカットバックを繰り返すことで物語が展開していきましたが、どうやら「スプーク・カントリ-」もそういうながれで話が進んでいくようです。ただし、そのカットが非常に短いのが印象的です。目次を見たときは章の多さに唖然としました。

読み終えないうちからいうのも変ですが、こういった対比が見つけられる以上は「スプーク・カントリー」の次の作品が気になるのは仕方がないことでしょう。

まだ序盤しか読んでいないためにストーリーの方はよく分かっていませんが、一方でガジェット関係は相変わらずです。前作はインターネットがギブスンの SF に出てきた自体が衝撃的で、電子掲示板やチャットが出てきたように記憶していますが、「スプーク・カントリー」では序盤だけでも GPS やグーグルや iPod がさらっと出てきます。ただ「マックブック」ではなくて「パワーブック」なことと、「ググる」ではなくて「グーグルする」であったのは残念なところです。「ググる」は「パターン・レコグニション」の時も使われていなかったのでそうだったような気がするので、翻訳者である朝倉さんか編集の意図があるのかもしれません。使って欲しかったですけどね。

さらにガジェットの話を続けると、前作に対する記事で私は、現代 SF に登場するガジェットとして携帯電話のことを書いていますが、約 4 年たった今では携帯電話はすっかりコモディティ化してしまいもはやガジェットのうちにも入らない状況になっています。現在の技術革新とそれに伴う生活様式と経済活動の変化の中では、サイエンスフィクションは必ずしも(近)未来のことを書く必要はないわけですが、この作品はどういう話の展開を見せてくれるのか楽しみです。

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