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2009 年も割と硬軟おりまぜてこつこつ、いろいろ読めたと思います。ということで総括してみました。

■ 夏への扉

「あの日あの時あの場所で」で的なタイムパラドックスもの。「時かけ」の人がアニメにしたら「あんまり好きじゃないけど」っていいながら 2 回観てしまうかも。

■ スプーク・カントリー

2010年になってもギブスンは健在。前作パターンレコグニションもそうでしたが現実がいかにあやふやなものかを突きつけられてる感がたまりません。ストーリーの加速感というかは異常。昨今の twitter 的なはやりとか電子書籍とかクラウドとかオバマ政権誕生とか世界的なエコ推進とかそういう現実を観ると、ギブスンはまだまだいけると思う。

■ 時間封鎖(上・下)、無限記憶

まだ完結していないので評価しづらいけど、恐怖というか畏怖というか、とにかく強烈なセンスオブワンダーを感じる話。読み始める前はタイトルから受けるインスピレーションからいろいろと話の筋を想像するのだけど、それを遙かに超える面白さ。

■ 虎よ虎よ

一時の気の迷いで読んだ本。特段おもしろかったというわけではないけど、あ、こういうのもあるんだ、という感想。来年は寅年だし読んでみるのも良いのでは?虎出てこないけどね。

■ 星を継ぐもの

この中では夏への扉の次に誰にでもおすすめできる話。最初に謎が提示されて最終的にはその謎がすっきり解けて終わるというミステリー仕立てできっちりとした話。おかんが言うところの「あの子、しっかりした子やわぁ」的な手堅さ。時間・空間ともに広がりのある物語す。

■ 都市と星

クラーク著。読み始めと読み終わりの印象が全然違った物語。クラークの作品の人に勧めるのであればこれじゃなくて去年読んだ「幼年期の終わり」の方を進めるかも。海外のSFってともすればキリスト教的背景が構成要素として織り込まれてるものですけど、それが一切ないのでこの話は好き。

■ ハイペリオン(上・下)ハイペリオンの没落(上・下)

これまた美しい物語。長いので途中から惰性になるけど叙事詩ってそういうもので、気づいたら4冊読み終わってた。読むこと自体に意義があるもんだと思う。まだ 4 冊続くのが楽しみでもありしんどさでもあり。

「ハイペリオンの没落」の上下巻を読み終えました。ハイペリオンから通して 4 冊にして一 応の完結です。 各巡礼の運命が辿り着く先は? 連邦とアウスターの戦争については? と「ハイペリオン」で広げられた様々ななぞがこの「没落」で話が進んで行くにつれて明らかになっていきます。

謎が一通り解決され、物語もきちんと結末を見せたものの次巻エンディミオンへの余韻を残しての完結です。長編を読むと普通はエピローグに入ったあたりから残りのページをめくるのが 寂しくなってくるものですが、今回は完結したとはいえまだ続きますから思い切って読めました。

今日続編のエンディミオンを買いに行ったら下巻しかおいてませんでした。上巻だけだれかか
ったのでしょうか?どのみに下巻も読むはずなので併せて上下巻で買って欲しいものです。

ダン・シモンズの長編叙事詩 SF です。長編といっても本作のあとにまだ「ハイペリオンの没落」「エンディミオン」「エンディミオンの覚醒」と続いてそれぞれが上下巻に分かれいるうちの2冊分ということです。

大長編ということでこれまで避けてきましたが、とうとう読み始めてしまいました。評判通り相当のおもしろさです。とはいっても 全 4 作 8 巻のうちの 1 作 2 冊を読み終えたところであって、全体的にはまだ起承転結の「起」ですから、登場人物と舞台がそろったところで終わります。

表紙の印象からややスペースオペラっぽい感じを受けていてこれまで敬遠してきましたし、実際読んでみてその嫌いがあることは否定しませんが、その話の長さも相まって 1 年前ならそもそも読むこと自体を躊躇した作品であることには間違いありません。私にとっては今になって読む準備と覚悟が整ったという感じでしょうか。この物語でしばらくは楽しめそうです。

クラーク御大の小説です。 10 億年後の地球に存在するコンピュータによって人の寿命すら計画されたの都市ダイアスパーに住むアルヴィンのお話です。コンピュータに管理される都市の話と言うことで、はじめのうちはネタバレから始まるマトリックス的なお話かと思いましたが、全然違いました。

テーマとしては同じくクラークの「幼年期の終わり」に似ていて、それをさらに重厚な SF にしたというか、もうどこまで書けばネタバレになるのか分かりませんが、だんだん話が大きくなっていき、最後に「ふわー」となっておしまいです。それがクラークのスタイルなんだから仕方がありません。10億年とか言われてもピンとこないつー話ですが、そこが話の開始地点でそこから「ふわー」と行きます。もっていかれます。

以前から気になっていた「星を継ぐもの」を読み終えました。月面で発見された 5 万年前の人の死体の期限を巡るミステリー作品です。そのチャーリーと名付けられた死体とその遺品から次々に明らかになる事実を元に、最終的にはタイトルにもあげられている「星を継ぐもの」の意味が分かるという流れです。

登場する多くの研究者が既存の知識や常識に捕らわれてしまい死体から明らかになった新事実をありのまま受け入れられない一方で、生物学者のダンチェッカーが学問的な理論とチャーリーから得られた新事実をもとに演繹的に謎を解き明かそうとする姿勢が印象に残っています。

全体的にほっこりした暖かみのある話だと思います。妙な緊張感やこ難しい理論もなく、話自体もそれほど長いものではありませんので、誰にでも勧められる良い Sci-Fi です。

neuromancer.jpg

会社帰りにヨドバシアキバ 7 階の有隣堂に寄ったところ、ハヤカワから出ているニューロマンサーがカバーの絵が新たにトールサイズになって新登場していたので、思わず買ってしまいました。

ハヤカワのSF文庫が 2009 年 4 月の新刊からトールサイズになったのは知っていましたが、ハヤカワのサイト調べてみたところ、「2009ハヤカワ文庫の100冊フェア」というキャンペーンで既刊がトールサイズ化されたようです。順列都市なんかはカバーの絵は既刊と同じでサイズだけトールサイズになっていますが、ニューロマンサーは以前の絵とはえらい雰囲気の違うものになっています。ここまで違うとなんだか別の物語のような、読んでみたら実は細かいところが変わってるんじゃないかと思ってしまいますが、新訳ではありません。本と文字のサイズが大きくなった以外は同じです。

でも、買ってしまいました。

徹頭徹尾、主人公であるガリバー・フォイルの執念が描写された物語。読んでるとものすごくアツい話です。アメコミ的、ダークヒーロー的物語です。私は好んで読むジャンルじゃないけど、ここ最近はゴツい話ばかりを読んでいたから、たまにはこういうのも良いよね。

エンダーのゲームはほとんどエヴァ

ヨドバシ AKIBA 7階にある有隣堂で見つけたエンダーのゲームと紹介のポップ。確か「アキバ向け夏の100冊」みたいなコーナーが出来ていてそこの1冊にエンダーのゲームが選ばれていたのですが、ポップの内容が面白かったので撮ってしまいました。その文章は次のような内容でした。

「ほとんどエヴァの世界!!/ SF ファン必読の1冊。/少年の心が崩れるのか、戦争が/終わるのか地獄のデッドヒート」

エンダーのゲームとエヴァを「ほとんど同じ」と言い切ってしまう辺りに有隣堂さんの商魂を垣間見た気がしました。同じなのは主人公が未成年で設定が世界系というだけです。

全部こんな煽り的な文章ばかりなのかと思いきや、写真でも下の方にちらっと見えてる「夏への扉」に対するポップに書かれた文章は、ハインラインとストーリの快活さへの賛辞だったりして、エンダーのゲーム好きなだけにちょっと不憫な感じでした。誤解のないように言っておきますが、続編こそ読んでいませんが私はエンダーのゲーム好きですからね。

前作、時間封鎖に続くロバート・チャールズ・ウィルスンの SF 小説。無限記憶を読んでいます。3 部作の 2 作目だそうです。

前作は人間関係がかなり面白く描かれていたのですが、今作の時代設定は前作の三十年後の世界で、登場人物が前作で形成された世界のなぞ、仮定体呼ばれる物体の正体に迫るといった具合です。時間封鎖では様々な立場の人間関係がかなり細かく描写されていてそれが面白かったのですが、今作は半分ほど読んだところの印象では、謎解き重視なイメージです。

でも 3 部作の 2 作目ですから、おそらくは謎に迫るほどに話しが広がっていくという展開ではないかと予想しています。前作はタイトル「時間封鎖」の意味がすぐに分かる展開だったのですが、今作「無限記憶」の意味するところは未だおぼろげな感じです。

「時間封鎖」を読み終えました。オフィス最寄りの本屋さんにずっと置かれて、はじめは面陳されてポップもあったものがいつしか、周りの本の居場所を奪われて端っこに追いやられていたのがなぜかいたたまれず、当初から気にはなっていたタイトルだったので買って読んでみたのですが、大当たりでした。

ある日突然地球の周りが膜のような球体に覆われて、地球の時間の速度が 1 億分の 1 になって...という話しです。地球からみると外の世界が 1 億倍のスピードで時間が過ぎていくわけですから、このままでは直に地球は巨大化した太陽に飲まれてしまう。そこで、この話の登場人物はこの問題にどう向き合っていくか、という話しです。

ダイアンとジェイスンの姉弟、2 人の幼なじみで主人公のタイラー、姉弟の父親の E.D.、E.D.の妻キャロルが主な登場人物です。物語はタイラーの回顧的な視点でスピンと呼ばれるその膜が覆い始めた過去の話しと現在の話しが交互に挟まれながら、最終的にはその 2 つのすじが合わさっていく流れです。

スピンの正体はなんなのか、膜によって「時間封鎖」を行った存在はなんなのか。それに取り組む科学者のジェイスン、終末思想的な宗教にのめり込んでしまうダイアン、その間のタイラー、成功によって権力を持った E.D.、舞台設定の謎解きに加えて登場人物を始め地球に住む人々の描写がものすごくうまい、そこに読みでを感じる物語でした。

この物語は上下巻の 2 冊からなりますが、実は 3 部作の第 1 部でこのあとまだ 2 部、3 部と続くらしいです。上巻だけでも充分楽しめますが、私はそのまま一気に下巻も読み終えてしまいました。2 部ももうすぐ邦訳が出るそうなので楽しみです。

地球を球体が囲むと言う点ではイーガンの「宇宙消失」にも似ていますが似て非なる物語です。それよりはソウヤーの「ホミニッド」の方が似ているかも?


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