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前作、時間封鎖に続くロバート・チャールズ・ウィルスンの SF 小説。無限記憶を読んでいます。3 部作の 2 作目だそうです。

前作は人間関係がかなり面白く描かれていたのですが、今作の時代設定は前作の三十年後の世界で、登場人物が前作で形成された世界のなぞ、仮定体呼ばれる物体の正体に迫るといった具合です。時間封鎖では様々な立場の人間関係がかなり細かく描写されていてそれが面白かったのですが、今作は半分ほど読んだところの印象では、謎解き重視なイメージです。

でも 3 部作の 2 作目ですから、おそらくは謎に迫るほどに話しが広がっていくという展開ではないかと予想しています。前作はタイトル「時間封鎖」の意味がすぐに分かる展開だったのですが、今作「無限記憶」の意味するところは未だおぼろげな感じです。

「時間封鎖」を読み終えました。オフィス最寄りの本屋さんにずっと置かれて、はじめは面陳されてポップもあったものがいつしか、周りの本の居場所を奪われて端っこに追いやられていたのがなぜかいたたまれず、当初から気にはなっていたタイトルだったので買って読んでみたのですが、大当たりでした。

ある日突然地球の周りが膜のような球体に覆われて、地球の時間の速度が 1 億分の 1 になって...という話しです。地球からみると外の世界が 1 億倍のスピードで時間が過ぎていくわけですから、このままでは直に地球は巨大化した太陽に飲まれてしまう。そこで、この話の登場人物はこの問題にどう向き合っていくか、という話しです。

ダイアンとジェイスンの姉弟、2 人の幼なじみで主人公のタイラー、姉弟の父親の E.D.、E.D.の妻キャロルが主な登場人物です。物語はタイラーの回顧的な視点でスピンと呼ばれるその膜が覆い始めた過去の話しと現在の話しが交互に挟まれながら、最終的にはその 2 つのすじが合わさっていく流れです。

スピンの正体はなんなのか、膜によって「時間封鎖」を行った存在はなんなのか。それに取り組む科学者のジェイスン、終末思想的な宗教にのめり込んでしまうダイアン、その間のタイラー、成功によって権力を持った E.D.、舞台設定の謎解きに加えて登場人物を始め地球に住む人々の描写がものすごくうまい、そこに読みでを感じる物語でした。

この物語は上下巻の 2 冊からなりますが、実は 3 部作の第 1 部でこのあとまだ 2 部、3 部と続くらしいです。上巻だけでも充分楽しめますが、私はそのまま一気に下巻も読み終えてしまいました。2 部ももうすぐ邦訳が出るそうなので楽しみです。

地球を球体が囲むと言う点ではイーガンの「宇宙消失」にも似ていますが似て非なる物語です。それよりはソウヤーの「ホミニッド」の方が似ているかも?


ギブスンの新作。スプークカントリーを読み終えました。

3 つの場面が激しく転換しながら話が進んでいくのは相変わらずのギブスン節でした。

ホリス、チトー、ミルグリムの 3 人の主人公。バラバラの 3 つのらせんが渦を描きながら加速度的にどこかの一点に集まってくる感覚がよんでいてものすごく気持ちよかったです。魅力的なガジェットや解像度の高い描写のためにすべてが伏線や暗示に思えてきて、序盤を読み進めていくのがちょっと辛いのはいつものことですね、私にとっては前作が 4 年前だから許せる話、次回作は気長に待つとしましょう。

注目すべきガジェットとしては AR(Augument Reality = 拡張現実) が出てきましたが話しの軸としては扱われず少々残念でした。とはいえ、ガジェット方面はもう現実の方が面白いですからギブスン作品といえどもそこはもう割り切るべきなんじゃないかと思います。でも、あの白いヤツ(あ、白いって描写はでてきたかな?)の使い方はお見事なので、それは読んでみてのお楽しみ。現実の裏を描くとなるとともすればハードボイルドになってしまいがちなテーマですが、この本は疾走感、爽快感あふれる作品でした。

昨年末にウィリアム・ギブスンの新作の邦訳が出たと言うことで今週から読んでます。

タイトルは「スプーク・カントリー」。

本作は前作の「パターン・レコグニション」に続く現代 SF の 2 作目ということもあり、スプロール三部作との対比もいろいろとってみられるのが面白いところではないでしょうか。例えば、パターンレコグニションの主人公「ケイス・ポラード」とスプロール三部作の一作目でありサイバーパンクの代表作「ニューロマンサー」の主人公である「ケイス」が同名であること。「スプーク・カントリー」には「ボビー」という人物が登場しますが、これはスプロール三部作の二作目である「カウント・ゼロ」の登場人物「ボビイ」とやはり同じ名前です。

また、「カウント・ゼロ」は主要な3場面のカットバックを繰り返すことで物語が展開していきましたが、どうやら「スプーク・カントリ-」もそういうながれで話が進んでいくようです。ただし、そのカットが非常に短いのが印象的です。目次を見たときは章の多さに唖然としました。

読み終えないうちからいうのも変ですが、こういった対比が見つけられる以上は「スプーク・カントリー」の次の作品が気になるのは仕方がないことでしょう。

まだ序盤しか読んでいないためにストーリーの方はよく分かっていませんが、一方でガジェット関係は相変わらずです。前作はインターネットがギブスンの SF に出てきた自体が衝撃的で、電子掲示板やチャットが出てきたように記憶していますが、「スプーク・カントリー」では序盤だけでも GPS やグーグルや iPod がさらっと出てきます。ただ「マックブック」ではなくて「パワーブック」なことと、「ググる」ではなくて「グーグルする」であったのは残念なところです。「ググる」は「パターン・レコグニション」の時も使われていなかったのでそうだったような気がするので、翻訳者である朝倉さんか編集の意図があるのかもしれません。使って欲しかったですけどね。

さらにガジェットの話を続けると、前作に対する記事で私は、現代 SF に登場するガジェットとして携帯電話のことを書いていますが、約 4 年たった今では携帯電話はすっかりコモディティ化してしまいもはやガジェットのうちにも入らない状況になっています。現在の技術革新とそれに伴う生活様式と経済活動の変化の中では、サイエンスフィクションは必ずしも(近)未来のことを書く必要はないわけですが、この作品はどういう話の展開を見せてくれるのか楽しみです。

夏への扉

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夏への扉 (ハヤカワ文庫 SF (345))

ハインラインの猫 SF

ピートかわいいよピート。リッキィかわいいよリッキィ。

分類するとタイムパラドックスものですね。起、承では主人公のダンがあまりにも不憫で読んでて辛かったですが、転で話が動き出すと後は一気にグッドエンドへ。スカッとする作品です。NHK 教育のアニメでみてみたいなぁと思いました。話の結末が必ずしも最後のページだけにあるわけではないという面白い作品です。

僕の記憶が正しければ、秋葉原の三省堂ではちょっと前にSF 特集みたいなのが組まれていて、この本が「ハッピーエンド好きならこの一冊。『ざまぁ』って感じがして気持ちが良い本です」的な文章が書かれたポップで紹介されていたのですが、今思えばさすがに「ざまぁ」はちょっと煽りすぎな気がします。確かに「ざまぁ」とは思いますけど、本質はそこじゃないです。その煽りに乗っかって読んでいくと話の軸と頭の中で予想している話の筋の軸がズレたままハッピーエンドがやってきて、ハッピーエンドに乗っかりきれなくなります。要注意です。

天体の回転について (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)

ヨドバシアキバの有隣堂で適当に買った一冊。にしては大当たり。ちょうど日本人が書いた SF をさくっと読みたいなと思っていたところに、ぴったりの一冊でした。各物語はやや短めの短編で気軽に読むにはちょうど良い長さです。

さくっと読めることがつまらない事かというと、そういうわけではなくて各作品ごとに一本の長編にはしにくいようなちょっとしたアイデアや考察を短編としてまとめられているのでむしろ普段は SF を読まない人にお勧めです。ネタもロボット、宇宙、タイムパラドックス、生物、ファーストコンタクト、電脳と多岐に渡っているのでセンス・オブ・ワンダーを短時間にたくさん味わえるいい本だと思います。

私はタイトル作「天体の回転について」が一番気に入りました。

幼年期の終り (ハヤカワ文庫 SF (341))

クラークの名作と言われる SF 長編です。

この後に書かれた「2001年~」 を知っていると「幼年期の終わり」という題名で話のスジを若干読めてしまったり、何処かの映画で既視感のある場面があったりしましたが、それは名作古典なら仕方のないことなのかもしれません。本作はそれを差し引いてもすばらしいものでした。クラークの文章はどうしてこんなに美しいのでしょうか?

内容をジャンルに分けるならば、いわゆるファーストコンタクとものになりますね。読後感はしばらくは「つかれた」でも「やられた」でも「うーん」でもましてや「がっかり」でもなくて、ただため息が漏れるだけで何も言葉が出てこない感じです。すばらしい。

数学ガール/フェルマーの最終定理

数学ガールの続編です。もちろん前作を読んでいたほうが登場人物の前提知識がある分深く読むことができますが、前作が未読でも楽しめます。

予想が立てられた 360 年後にやっと証明されたというフェルマーの定理(n≧3 の自然数で x^n + y^n = z^n が成り立つ 自然数の自明でない解 x, y, z が存在しないというやつ )ですが、それを証明するために高校生の男女が Boy meets girl な、奇妙な物語の本。

内容についてですが、実際証明が載っているのは n=4 のときだけであとは概要説明です。でも、一般的な n についての証明の説明をされても困るのでそこを指摘するのはお門違い、むしろ n=4 の時の証明を理解できる事の方に驚くべきで、本はピタゴラスの定理から始まって後述のキーワードのようなトピックが出てくるんですが、それらがきれいに最後の n=4 の時の証明に繋がってきて、読後感は張り巡らされた伏線が最後にきれいに回収される良くできたミステリーを読み終えたようなそんな感覚でした。ハリーポッターとはまた違うカタルシス。

以下、キーワードですが

  • 背理法
  • 互いに素
  • 原始ピタゴラス数
  • mod
  • 虚数・複素平面
  • オイラーの公式・定理
  • テイラー展開
  • 群・環・体
  • 無限降下法

見てのとおり高校の数学では習わない、もしくはメインストリームではない分野が中心ですが、複雑な計算はない(と僕は思いました)ので興味がある方是非。コマ大が好きな人は本書も好きになれると思います。

萌えな感じがちょっと私には馴染みづらかったですけど、ブルーバックスかなにかで同じ事が書かれていても絶対に読むはずもないので、そう言う意味では物語形式にして、読んでいる自分が考えるのではなく物語の主人公に考えさせるのはうまいことしたなぁという感じ。

やっと読み終えたというか、話が終わりました。

これはいいカタルシス。

風の谷のナウシカが実は「トルメキアクロニクル - クシャナ王妃の巻 -」であり、また映画版の指輪物語が「サムのお供はつらいよ」で、スターウォーズが「ドロイドは見た - R2D2 C3PO 珍道中編 -」であるように、冒険物語というものは得てして主人公をとりまく第三者の目から語られるものでもありがちなのですが、ハリーポッターも大別するとそういう風味になっております。

私が読み始めてからは 8,9 年ですが、やっと完結です。長かったですね。

「ハリー・ポッターと死の秘宝」 (上下巻セット) (ハリー・ポッターシリーズ第七巻)

ハリーポッタの最終巻がついに発売されました。思えば、M1 のときに同級生に触発されて 1, 2 巻を原著で読んだことにはじまって、足かけ訳 8 年、やっと最終巻です。

実はアカデミック or テクニカルな文章以外で英語を読んだのは当時のハリーポッターが初めてでした。3 巻のアズカバンの囚人も原著を読みすすめていたのですが、読んでいる途中で映画に追いつかれてしまい以降は日本語版にシフトしました。

読み始める前の今は、どういう物語なのか非常に気になっている反面、読み終えたらそれで終わりなわけでそれもまたもったいないようなちょっと複雑な気持ちです。夏休みですから読書感想文の宿題の題材にする子どもたちも大勢いそうですね。

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